2024/01/26
1月26日、自治労は「2024年度介護報酬改定」について、下記の通り談話を発出しましたので掲載します。
2024年度介護報酬改定に関する談話
1.厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会は1月22日、2024年度の介護報酬改定に関する武見厚生労働大臣からの諮問に対し、答申を行った。超高齢社会を見据えた、認知や看取りへの対応、医療との連携強化は評価できる。また、深刻な人材不足に対応するため介護職員らの処遇改善に重点的に配分した点についても、不十分ながら一定評価できる。しかし、介護の質の確保するうえで現場への影響が懸念される特定施設の人員配置基準などの緩和は問題であり、また、大半のサービスの基本報酬が引き上げとなる中、訪問介護の基本報酬が引き下げとなったことは極めて遺憾である。
2.今回の改定では改定率プラス1.59%のうち、0.98%が介護職員の処遇改善分に重点配分された。国は処遇改善加算による賃上げ効果などで2024年度に2.5%、2025年度に2%の賃上げをめざすとしているが、2024年春闘で連合はベア3%を含む5%以上の賃上げを掲げており、介護職と全産業平均の7万円近い賃金格差はさらに広がりかねない。国は改定による賃上げ実施の実態を調査し、改善が必要な場合には速やかに策を講じるとともに、賃金格差等を踏まえた、さらなる処遇改善にむけ施策を実行するべきである。
3.在宅介護を支える訪問介護は、「地域包括ケアシステム」の要である。介護職の中でもとくに深刻なホームヘルパー不足に対し、訪問介護の基本報酬の引き下げ分は、処遇改善加算の訪問介護の加算率を大幅に引き上げ、ヘルパーの賃上げなどで対応するとしているが、基本報酬の引き下げは、担い手不足を加速させるだけではなく、訪問介護事業所の経営を圧迫し、事業の休止・撤退に繋がりかねず、地方を中心とした訪問介護の崩壊がおおいに懸念される。国においては、適宜実態を把握・検証し、次期改定を待たずして必要な改善を行うべきである。
4.団塊の世代が75歳以上になる2025年度に約32万人の介護職員の不足が見込まれる中、2022年には、離職率が入職率を初めて上回った。「保険あってサービスなし」という状況があってはならない。自治労は、介護が必要になっても住み慣れた地域で自分らしい尊厳ある暮らしを誰もが続けられる社会をめざし、必要な介護サービスが将来にわたって安定的に利用できる介護保険制度とサービス提供体制の確立、人材確保のための処遇改善の実現にむけ取り組みを進めていく。
2024年1月26日
全日本自治団体労働組合
書記長 伊藤 功