「経済財政運営と改革の基本方針2024」閣議決定に対する談話(2024年6月26日)

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「経済財政運営と改革の基本方針2024」閣議決定に対する談話(2024年6月26日)

2024/06/26

6月26日、自治労は「経済財政運営と改革の基本方針2024」閣議決定について、下記の通り談話を発出しましたので掲載します。(最下段よりWordファイルをダウンロードできます)


「経済財政運営と改革の基本方針2024」閣議決定に対する談話

1.政府は6月21日、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2024」を閣議決定した。岸田政権として掲げる「成長と分配の好循環」にむけて道半ばという見方に立てば、前年を踏襲する内容とならざるを得ないであろうが、全体として新味に欠けるように見える。また個別の課題において、自治労として容認しがたい点も多々あるが、賃上げの定着にこだわり、プライマリーバランスの黒字化や偏在性の少ない地方税体系の確立などについて意欲を見せたこと自体は否定されるものではない。むしろ、その点においては、掲げた目標を実現する能力が現政権にあるのか大いに疑わしい。
 
2.地方行財政基盤の強化として、2025年度の地方一般財源総額を2024年度地方財政計画の水準を下回らないように確保するとされたことは評価する。この間、同水準ルールについては行政需要の高まり、とくに物価高、賃上げ基調時にあっては、逆に地方一般財源総額の上限となりかねない懸念があった。しかし、今回は地域における賃金と物価の好循環の実現を支えるため、行財政基盤を強化するとの視点が盛り込まれている。2025年度政府予算編成以降も、地方における持続可能な行政サービスを支えるための予算措置が継続的に行われるものとして一定期待したい。
 
3.賃上げの定着という点については、労働組合の立場からも歓迎される。とくに医療・福祉分野におけるきめ細かい賃上げ支援、非正規労働者の正社員転換の促進などはまさに改善すべき喫緊の課題である。官公需における価格転嫁の徹底も盛り込まれており、実際の予算編成において、どの程度の財源が配分されるのか、明確な措置を期待する。自治体においても公契約条例制定運動に改めて取り組むなど、社会的な賃上げの気運を積極的に後押しすることが求められる。ただし、雇用の確保において、雇用の維持より雇用の流動性を高めることにより対応しようとしている点には警戒が必要となる。雇用環境の改善にむけては、安心して働き続けることができる雇用の確保を阻害しないよう、極めて慎重な取り組みこそが求められる。
 
4.プライマリーバランスの黒字化については、国・地方を合わせて2025年度での達成をめざすと3年ぶりに明記された。持続可能な財政とする見地からは、一定評価されるべきだが、社会保障費の負担増はもちろん、財源確保にかかる増税時期について明言が避けられた防衛費の大幅な増額も見込まれる中、今後も地方財政に負担を付け回さない予算編成ができるのか。地域における必要な公共サービス水準の確保と規律ある財政運営の確立にむけて、より明確な工程を示すことが求められる。
 
5.GX・エネルギー安全保障において、2050年カーボンニュートラルの実現といった目標を踏まえ、2024年度中を目途に「エネルギー基本計画」等を改定することが明記された。一方原発について、①地元の理解を得た再稼働、②次世代革新炉の開発・建設、③廃炉を決定した原発敷地内での建て替えの具体化などが示されており、エネルギー基本計画の改定にむけて、原子力の活用が強く打ち出されることは確実である。しかし、安全性や放射性廃棄物などの課題を解決しないままの原発再稼働は、地球環境また将来世代に対し、あまりに無責任である。原子力に依存しないエネルギー政策への転換こそが求められている。
 
6.地域医療構想について、2024年度末までに都道府県の責務や権限、市町村の役割、財政支援のあり方について結論を得るとされており、引き続き、これらの議論に積極的に関わらなくてはならない。また、医療DXに関連するシステム開発、運用主体として、社会保険診療報酬支払基金を抜本的に改組することが明記されている。このことは国民健康保険を取り扱う国民健康保険団体連合会のあり方や自治体にも影響を及ぼすことが想定される。自治体の意向を十分に尊重し、かつ、保険者事務の運営に支障が生じることのないよう検討するべきである。
 
7.ライドシェアについては、モニタリングや検証を行いつつとしながらも、全国で広く利用可能とする旨の記載となっている。タクシー事業者以外の者が行う事業についても議論を進めるとされているが、IT事業者などプラットフォーマーによる直接運営はドライバーの雇用確保や人件費の面からも重大な懸念があり、結果的には安全性および地域公共交通における正規雇用に重大な支障を与えかねないものであることから、その導入には反対の立場で今後も臨まなければならない。
 
2024年6月26日
全日本自治団体労働組合
書記長 伊藤 功

240626_骨太2024に対する書記長談話.docxをダウンロード  

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