能登の被災自治体職員調査、58%が「辞めたいと思った」と回答(自治労石川県本部の調査結果)

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能登の被災自治体職員調査、58%が「辞めたいと思った」と回答(自治労石川県本部の調査結果)

2024/09/13

8月20日、調査結果を報告する記者会見に臨む石川県本部の宮鍋正志・中央執行委員長(中央)ほか

自治労石川県本部は、能登半島地震で大きな被害を受けた奥能登の5単組の組合員を対象に実施した調査の結果を820日、公表した。調査は7月から8月にかけて行ったもので、全体の約30%にあたる211人から回答があった。

その結果、「地震のあと仕事を辞めたいと思ったことがある」と回答したのは58%。「災害対応で長時間労働、業務の増加」、「肉体的、精神的な負担に限界を感じる」など、地震の発生で業務量が大幅に増えて悩んでいるという声が出された。また、住民から執ようなクレームや不当な要求行為などの「カスタマーハラスメント」を受けたことがあるかを聞いたところ、41%が「ある」と回答したほか、21%が「自分はないが、直接見聞きしたことがある」と答えた。

 この調査結果を受けて自治労石川県本部は、メンタルヘルス対策や職場の人員増要求などの取り組みを強めることとしている。

能登半島地震によるメンタルヘルスに関する実態調査結果をダウンロード

自治労石川県本部における分析と評価

自治労石川県本部における「令和6年能登半島地震による被災自治体におけるメンタルヘルス等に関する実態調査」の実施について
1 分析
・「仕事を辞めたいと」と思ったことが「ある」と回答した方が58.1%と半数を超える結果となった。その理由として、災害対応による心身の疲弊のほかにも、家族よりも業務優先にせざるを得ない状況にあること、先が見えないことへの不安があげられている。
・業務量や労働時間の増大の要因として、通常業務に加え災害対応を行わなければならず人員が不足していること、窓口や電話対応の時間が増えたこと、退職者・休職者のフォローがあげられている。
・精神的または身体的不調をかかえていると回答した方は半数となった。
・一方で、職場における相談しやすい体制(雰囲気)づくりについては「行われていない」と答えた方が「行われている」より若干上回る結果となった。
 必要な支援について、相談に行く時間がないため人員を配置してほしい、多少の強制力を持たせることも必要との回答があった。
・サービス残業については約半数(45%)の方が「ある」と回答。理由の中には災害発生前は終わらせることができた業務のため申請しないや、未だに○○時以降でないと申請しづらい環境との回答があった。
・住民からの執拗なクレームや不当要求行為(いわゆるカスタマーハラスメント)については、見聞きも含め「ある」との回答が75.4%と全体回答数の4分の3を占める結果であった、一方、対応マニュアルなどの対策については約7割(67.5%)が「対策されていない」と答えた。カスタマーハラスメントの内容としては、長時間の拘束、暴言、無理難題な要求、謝罪の強要などの状況が報告された。
2 評価
 今回の実態調査から様々な問題の根幹にあるのは現場の「人員不足」。
 行財政改革による削減は一段落したものの、市町村合併による職員数の減や複雑化・多様化する業務に加え相次ぐ災害対応等から、人員不足による業務量・時間外の増大が休職者・退職者を生み、さらに残された組合員への負担となる悪循環を生んでいる。
 現場からは「人員に余裕のある自治体なんて今どきない。他の自治体の応援頼みでは対応しきれない」との声がある。公務職場の人員について、国が先頭となり全体で見直す時がきている。
 いわゆるカスタマーハラスメントについて、9割を超える方が復旧・復興への悪影響を感じている。一方で現場任せの対応となっており、法的対応も含め対応の強化が急務を言える。

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