今年の干支『ヘビ』はお嫌いですか?〈part2〉上野動物園・齋藤さんインタビュー

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今年の干支『ヘビ』はお嫌いですか?〈part2〉上野動物園・齋藤さんインタビュー

2025/01/08

「キモい」「コワい」と、とかく嫌われがちな生き物・ヘビ。しかし、その『素顔』を知る人は少ない。そこで、「動物のプロ」の自治労組合員に聞いてみた。自治労公立動物園労働組合協議会(公動協)の協力を得て、上野動物園でヘビの飼育員をしている齋藤祐輔さんにインタビューを敢行しました。

今回インタビューしたのはこの方

公益財団法人東京動物園協会
恩賜上野動物園
齋藤 祐輔(さいとう ゆうすけ)さん
(自治労都庁職)

今年、4回目の巳年を迎える「年男」。20009月に東京都職員採用。子どもの頃から両生類・爬虫類を飼育。大学では魚を研究し、葛西臨海水族園での勤務経験もある。

(以下、インタビュー記事)


 上野動物園は、公益財団法人東京動物園協会が東京都からの指定管理者として運営を担っています。飼育員には、東京都の職員として財団法人に出向している者もいれば、財団法人の職員もいます。私は自治労東京都庁職員労働組合の組合員です。

ヘビの性格や体調管理のため、飼育員に求められる観察力

 ヘビたちは個体ごとに性格が異なります。攻撃的なものもいれば、おとなしいものもいます。この性格の違いをしっかり把握し、先輩たちから引き継ぐことが飼育員の大事な仕事です。例えば、イベントなどで来園者と触れあうことのあるヘビは、毒蛇以外の種類から、とくにおとなしい性格の個体を選び、日々の飼育で人に慣れさせています。ちなみに、これまで飼育員が毒ヘビに噛まれた事故は一度も起きていません。

 また、ヘビは食べ物の好みにも個性があります。冷凍マウスを餌として与えることが多いですが、少し生々しいので、閉園後や休園日などのお客さんがいないタイミングで与えることもあります。

 ヘビの健康管理には細かい観察が必要です。例えば、ヘビは脱皮前になると目が白濁し、餌を食べなくなります。脱皮自体が体に多くの負担がかかるので、注意深く観察することが必要です。また、館内の多くの生き物が変温動物のため、例えばカメは寒い環境で鼻水を出すこともあります。そういった生き物たちの「サイン」を見逃さないことが重要です。

飼育の職場は人間関係も大切な「チームで行う仕事」

 飼育員の仕事は多数の生き物と向き合うため、一人ではできません。「両生類・爬虫類館」は10人のチームで担当しており、それぞれが補い合いながら生き物の世話をしています。だからこそ、動物が好きという気持ちだけでなく、チームの一員としてみんなと協力し、良好な関係を築く力が必要です。

 当然ですが動物たちは言葉を話せないので、飼育員同士で生き物の情報を共有しながら対応します。そのため、広い視野を持ち、社会に関心を向ける姿勢もこの仕事には欠かせません。

 飼育員の一日は、開園前の展示スペースの清掃から始まります。仕事は交代制で、休園日には普段できない大掛かりな掃除や整理を行うので、実はとても忙しいです。

 これから飼育員をめざす方には、「いろんなことに興味を持って取り組んでみてほしい」と伝えたいです。どんな経験も、この仕事を支える大事な財産になりますから。

東京都恩賜上野動物園

上野動物園は、1882年に日本最初の近代動物園として開園。1924年に宮内省から東京市に下賜されたことに由来し「恩賜」という名がついている。その後、東京都建設局の所管となり、現在は指定管理者制度により公益財団法人東京動物園協会が管理する。飼育動物数は、人気者のジャイアントパンダ、スマトラトラ、ニシローランドゴリラなどの希少動物を含む約400種。年間来園者数は日本一。日本を代表する動物園だ。

(機関紙じちろう2025年1月15日号より転載)

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