【第31回写真コンクール】「声」「はじまる」をテーマに全8作品が受賞!

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【第31回写真コンクール】「声」「はじまる」をテーマに全8作品が受賞!

2024/09/27

特選に選ばれた「オイサー!」(福岡・自治労大牟田市職労:坂田修さん)

「第31回写真コンクール」の審査を9月17日、東京・自治労本部で行った。「声」と「はじまる」をテーマに募集し、本格的カメラ写真部門に43点、スマホ写真部門には76点の個性的な作品が寄せられた。写真家の鈴木邦弘さんの審査の結果、8作品が受賞した。受賞作品の紹介と、最下段には選者による講評を掲載。

本格的カメラ写真部門

特選:1点

「オイサー!」坂田修さん(福岡・自治労大牟田市職労)

選評:今年の博多祇園山笠のワンシーンをとらえた作品です。土砂降りの中、男たちが追い山ヤー・オイサーのかけ声とともに一斉に山を舁(か)き出す(山笠を担ぎ出すこと)。そして、清道(神社の境内)に山笠を舁き入れる。参加者である坂田さんは締め込みをして、ずぶ濡れになりながら清道入りする山笠を真正面からとらえました。その写真からは、薄暗い中、激しい雨に打たれながら山笠を舁(か)く男たちの声と熱量が伝わってきます。参加者しか撮影できないアングルと距離の迫力ある作品になっています。

入選:1点

「身だしなみ」木谷昌経さん(山梨・中央市職)

選評:地元の太々(だいだい)神楽を見学に行ったときの何気ないシーンを撮影した一枚です。舞台袖から、カーテン越しに出番待ちの演者が鏡を見ながら身支度をする様子が見えたそうです。その様子が、まるで本物のおじいさんが鏡を見ながらぶつぶつ何かをつぶやいているように見えたとのことです。中心の舞台とは異なり、見過ごしてしまうような小さな出来事です。作者はそこを見逃さず、自分の感じとったことに忠実にシャッターを押して、独特の空気感をとらえました。

佳作:2点

「心の会話」葛西将大さん(青森・黒石市職労)

選評:墓参りに行った際の祖父の様子を撮影した作品です。祖父は亡き妻と心で会話しているうちに昔の思い出がよみがえったのか、涙があふれ出てしまったそうです。この作品は、そんな祖父の背中を写すことによって、感情の深さを、そしてモノクロにしたことによって、感情のひだのようなものを上手く表現しています。写真はこのように撮影できない対象を表現できます。これが写真の面白さのひとつです。去り際に、祖父は「また会いに来るからな」と笑顔で声をかけていたそうです。

「呼んだ?」守屋涼さん(東京・町田市職労)

選評:北海道に生息するシマエナガを撮影した作品です。この「雪の妖精」は撮影することが難しいそうです。まず、出会うことがなかなか難しいのですが、真冬だと山に近い札幌の公園でも出会える確率は高くなるそうです。また、常にせわしなく動き回っています。この作品のように、つぶらな黒い瞳でこちらを見ているようなカットはなかなか撮れません。撮影者は呼びかけを続け、こちらを見た瞬間を逃さずものにしました。声を出したのは野鳥ではなく撮影者の方でした。

スマホ写真部門

入選:1点

「車中に咲く笑顔」松原加奈子さん(石川・公立能登総合病院職労)

選評:子どもとおばあちゃんの写真です。子どもは松原さんのお子さんで、おばあちゃんは祖母だそうです。お子さんが初めて花見に行った時の一枚ということです。お子さんも祖母もこの日は一日楽しそうだったということです。写真はそんな二人が車中で満面の笑顔でお互いに顔を向け合う楽しそうな一瞬をとらえています。単純な構図ですが左右のバランス、二人の顔の向きとその表情が絶妙です。この日一日の楽しさを象徴するような一枚になりました。

佳作:1点

「第二の人生の始まり」吉賀幸一さん(東京・西東京市職労)

選評:セミの羽化の様子を撮影した作品です。連日の熱帯夜のある日、アブラゼミの幼虫が網戸にとまっているのに気づき、家族みんなで一晩中気にかけていたそうです。背中が割れセミが出てきて、足がかたまるのを待ちながら羽が大きくなってきているところを撮影した写真です。自宅の網戸という身近なところで撮影されたことが、スマホ部門にぴったりです。欲を言うと、時間を空けながら連続写真の組み写真にすると更に興味深い作品になったでしょう。

努力賞:2点

「ニコニコ」大橋恵理子さん(福井・自治労福井市職労)

選評: 指輪を使用した指人形の写真です。写真を見ればわかるように婚姻届けを出す前に撮影したということです。「これから始まる二人の人生を表すように、ニコニコの二人です」、とエピソード欄に書かれていました。この作品も結婚という大切な出来事をスマホを使って楽しく写真で表現しています。写真はいろいろなことを記録しますが、ストレートに事実を撮るだけではなく、このように少しのアイデアで楽しい表現ができます。あまり大げさに考えすぎず、いろいろなアイデアを写真にしてみましょう。

「出勤の朝」吉元良太さん(福岡・自治労築上町職労)

選評:三人が楽しそうに話しながら出勤している様子をとらえた作品です。日々繰り返している何気ない日常の一枚、このような中に特別なものとは異なる楽しさがあります。私たちの日常は、このような日々の積み重なりでできています。スマホで撮る気軽さがよく表れている作品です。エピソード欄に「『今日も仕事頑張るぞ!』朝日に照らされて、今日という一日がはじまる」と書かれています。まさに、スマホだからとらえられるささやかな幸福感がよく出ている作品です。

講評:自分の欲するイメージを想像して

選者の鈴木邦弘さん

 今回も例年同様選考には悩みました。テーマと写真との兼ね合いや写真としての出来不出来、テーマのとらえ方など様々なことを考慮しながら審査を進めました。
 まず、本格的カメラ写真部門全体の印象を書きます。テーマのためか、例年に比べ撮影対象の幅がありました。また、実際に聞こえる声を意識した作品や心で聞こえるような声を意識した作品など、意識する声も様々でした。テーマと写真とのバランスがなかなか難しいところです。カメラで撮影する人たちは、イメージの出来上がりにもっとこだわってよいと思います。今回の作品の多くは、写真として印象の強いものが少なかったように感じました。せっかくカメラで撮影しているのですから、自分の好きな対象を自分の欲しいイメージに少しでも近づけるように何回も撮影してください。そして、撮影対象を観察しながら自分の欲するイメージを想像してください。目の前にある被写体を通して自分のイメージを作っていくのです。そうすることで、あなたの欲しいイメージを理解できるようになるでしょう。
 次にスマホ写真部門の全体の印象を書きます。スマホの最大の特徴は何でしょうか。そうです、いつも持ち歩いてるということです。カメラで写真撮影をする場合特別なもの(非日常的なもの)を撮る傾向があります。それに対して、いつも持ち歩くスマホは身近なもの(日常的なもの)を撮るのに最適です。今回の応募作品は、テーマのためか、子ども絡みの写真が多かったです。あまりテーマにこだわりすぎずに、自分の撮りたいと思うものを気軽にどんどん撮影してください。そして、後でテーマに合う写真を探すというくらいでちょうど良いと思います。まずは撮る、これがスマホ写真部門の最大の武器になります。
<選者紹介:鈴木邦弘(すずきくにひろ)>雑誌を中心にフリーの写真家として活動。『自治労通信』および『世界』などにドキュメンタリー写真を発表。93年「森の人・PYGMY」で第18回伊奈信男賞を受賞。日本写真芸術専門学校主任講師。日本写真家協会(JPS)会員。

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