2024/01/30
パネルディスカッション形式での質疑と意見交換。来客が減る中での職域の確保、ファンサービスの向上など、率直な発言が相次ぐ
自治労は1月18~19日、公営競技評議会第15回全国研究交流集会を京都市で開催し、100人が参加した。この集会は全国の公営競技職場で働く職員の職場実態や活動の交流、公営競技政策の研究などを目的に隔年で開催している。
集会では北海学園大学の古林英一教授が「地域における公営競技の可能性と未来」と題して講演(下方記事)。自身が公営競技の大ファンであると同時に、専門の農業経済学の研究から北海道の「ばんえい競馬」存続運動に関与した経緯に触れながら、公営競技の歴史を概説。戦後の沿革から、隆盛と衰退を経て、今日ではネット投票の拡大により活況を呈しているとした。
しかし来場者数の減少は続き、従事員の雇用も縮小、地方財政への貢献度も低下している厳しい現実を指摘。競技施設の多目的利用などを進め、地域に貢献することが大切だとし、「そのためにはまず、施行者=首長の意識改革が必要だ。地元の優秀な競輪選手、海外でも活躍する競走馬の写真を、表紙に載せた自治体広報紙を見たことがない。公営競技を市民から隠すのではなく、積極的にアピールすべきだ」と強調した。
質疑応答では、従事員の不補充という厳しい現状の中で、どう職場を守り、ファンサービスの充実や地域貢献を果たせるか等について意見や質問が出された。古林教授は「来場者数の減少の中で、有人の投票券販売窓口を守るのは難しいのが現実。新たな職域の確保が必要だ」と述べた。
集会2日目は、競技種目別などの4分科会に分かれ、雇用確保や労働条件、春闘要求書の分析、公営競技の未来の姿などを議論した。集会後は、参加者有志で滋賀県大津市のびわこボートを視察した。
地域に認められる公営競技へ
公営競技は戦後復興のための産業振興と地方財政対策として誕生した。高度成長期の隆盛、バブル崩壊後の低迷などを経て、今日ではネット投票が急拡大し空前の活況を呈している。しかし本場開催への来客数は増えていない。
市民への施設利用の開放、観光施設化、防災拠点としての活用など、競技施設の多面的利用を進め、地域に貢献することが求められる。投票券を買わない市民にも存在意義を認められることが、存続の決め手だ。自治体首長には、公営競技を隠すのではなく、見せるものへと転換する意識改革が求められる。
機関紙じちろう2024年2月1日号より転載