2024/07/09
7月6日に「自治体現場力による質の高い公共サービスを実現する集会」を自治労会館(ウェブ併用)で開き、対面とウェブあわせて299人が参加した。この集会では、民間委託導入後に課題が生じている際には「再公営化」へむけて取り組むことを提起している。提起の趣旨に沿う形で、東京都杉並区長である岸本聡子さんを講師に招き、「民営化から再公営化にむけて」と題した講演を行った(講演については、後日「じちろうモバイル」を通じて公開予定)。
講演で岸本区長は、自身のこれまでの経験についてふれ、「再公営化」について、「公共」の役割と力を取り戻すことであり、地域住民が主体となって自分たちの税金の使い道や公共の財産の役立て方を民主的な方法で決めていくことが重要と述べた。民営化に対する考えでは、公共サービス(コモンズ)は民主的に運営することで民主化・地域化・市民営化であり、英語で「民営化」は「privatisation」であり、まさに「私有化」と考えることができる。そのため、公共であるからこそ、「民主化」の考えが重要であり、公務員と公共施設はコストではなく、地域の財産である考えのもと、公約として「ケアする人をケアする」を掲げている。
さらに杉並区長として、現在取り組んでいる内容では、公共の再生として指定管理者制度を検証するとともに、公契約条例では労働報酬下限額の引き上げを行い、また会計年度任用職員の処遇改善について説明した。さらに定員管理方針の改定として、定員の余力が必要であることから、上限を150人に引き上げたことを報告した。
最後に「住民自治」の実現にむけ、豊かで公正な公共経済と地域のウェルビーイングをつくる公共政策と自治が重要と強調し、公演を終了した。公演終了では参加者と意見交換を行い、議論を深めた。
その後の単組報告では現業評議会から民間委託から直営に戻った事例として、田川市職労(福岡県)の磯崎良太さんが登壇した。磯崎さんは、資源ごみ拠点回収施設の取り組みにおいて、委託事業者の分別の知識や経験が十分でなく、その結果、対応についても課題が生じていたため、再度、直営に戻した事例を紹介。直営に戻した後は回収量も増加し、回収した資源ごみをトイレットーパーに交換することで、公共施設に寄贈するなど、完結型の運営に取り組んでいる内容について報告した。
また、公営企業評議会から能登半島地震における給水活動の取り組みを報告し、最後に、現業評議会議長、公営企業評議会議長より2024現業・公企統一闘争への全単組の結集にむけた決意表明を行い、伊藤書記長のまとめと団結がんばろうで会を閉めた。