災害から考える水道の未来《自治労水週間関連取材:100年先も水の恵みをみんなに届けるため》

ホーム > ニュース > 評議会運動 >

災害から考える水道の未来《自治労水週間関連取材:100年先も水の恵みをみんなに届けるため》

2024/07/16

能登半島地震では水道管が広範囲に壊れ、石川県を中心に約13.7万戸で断水が発生した。
8月1日からの水週間を機に、水道管の「耐震化」を通して水道の未来を考える。自治労の公式みずキャラクターめぐるちゃんが、耐震化工事の現場に突撃取材した。
(インタビュー:北上市職労 岩手中部水道企業団労組、千葉裕人さん)


めぐるちゃん: 水道管が地震で壊れないようにするには、どうするの?工事現場に連れて行ってよ。


千葉さん  : いいよ。見てごらん。耐震管という水道管に取り替えるんだ。地震で揺れると管の接続部分が動くようにできているから、はずれないんだよ。

花巻市東和町倉沢地区の現場(取材日:7月3日)1日に可能な工事は30メートル程度。時間のかかる地道な手仕事だ。


めぐるちゃん: 国は基幹管路の耐震適合率(耐震管ではないが地盤の状態などから耐震性があると評価される管の割合)を2028年度末までに60%以上にするのが目標と言っているよ。2022年度末の適合率は42.3%だね。具体的には、どういう風に工事を進めるの?


千葉さん  : 水道管は、全国的に更新が遅れていて老朽化が進んでいる。40年以上使われている管は全国で22%くらいと言われているんだ。老朽化すると漏水や破裂が起きて広範囲で断水することがあるから、老朽化した管から優先的に更新する計画を作って、工事のときに耐震管に取り替えていくよ。一気にはできないから、毎日、少しずつだ。


めぐるちゃん: 千葉さんの職場は、企業団って言うの?市役所の上下水道局とは違うんだ。


千葉さん  : 僕が働いている企業団は2市1町が10年前に共同で設立したんだ(下記解説を参照)。人口が減る中で、水道料金収入の減少、設備の老朽化などの悩みを、どの自治体も抱えている。そこで近隣の自治体の水道担当者を中心に10年以上も議論を重ねて「広域化」を決めたんだ。自治体ごとの事業を統合することで運営を効率化して、中長期的な計画を作る中で、水道料金を一気に引き上げないで、設備の集約化や更新、必要な人材育成ができることをめざしてきたのさ。もちろん仕事の量と人員など、課題はあるよ。


めぐるちゃん: いつまでも水道を使い続けるためには、千葉さんは何が必要だと思う?


千葉さん  : 管路はどんどん老朽化していくけど、人口減少が急速に進んで、水の需要は減っている。今ある施設を前提に、耐震化だけを進めるのはもったいない。100年先の将来を見すえた「次世代水道」の構想を描いて、そこに投資することが重要だと思うよ。そして、そのために必要なアクションを、今から起こしたい。そう考えているよ。


めぐるちゃん: 水道ってすごく壮大なプロジェクトだね。


■解説■岩手中部水道企業団とは…
岩手県北上市、花巻市、紫波町の3自治体で2014年4月に事業を開始。約21万人の給水人口・10万戸の給水戸数に水道水を供給する、水道事業の広域化の「草分け的存在」。将来を見据えた水道ビジョンの策定、事業の効率化、老朽管の更新や人材育成などに注力している。


自治労水週間ぬり絵コンクールの応募を受け付け中(どなたでも応募できます)

自治労は「自治労水週間ぬり絵コンクール」を開催しています!

今年のテーマは、「水の奏で―忘れがちな宝物」です。

ポスターデザインを以下サイトからダウンロードし、奮ってご応募ください。

https://www.jichiro.gr.jp/mizu/40th/
募集期間は、7月8日(月)から8月31日(土)まで(当日消印有効)。

(機関紙じちろう2024年7月15日号より転載)

関連記事

  • 立憲民主党 参議院議員 岸まきこ
  • 参議院議員 えさきたかし
  • 自治労共済生協
  • 株式会社 自治労サービス
  • ろうきん

ページトップへ