2024/11/21
11月15日、衛生医療評議会は第2回レベルアップ講座を開催した。公立・公的病院は不採算事業や政策医療を担い、多くが採算を取れない厳しい現状にある。そこに、新型コロナ対応の財政支援の終了や物価高騰・人件費の増大などから、さらに経営を圧迫している。今回の講座では、診療報酬制度やDPCの仕組みを学び、経営改善にむけた具体的な取り組みについて学習した。
冒頭、平山春樹衛生医療局長より、2024年度の医療機関が直面する厳しい経営環境について報告。また、医療従事者の賃上げの取り組みや、本部の医療機関に対する財政支援に関する省庁国会対策についても共有した。
続いて、奈良県南和広域医療企業団 南奈良総合医療センター 診療情報管理室 の中島 大さんを講師に「病院の経営改善ついての概要と実戦」と題した講演を行った。本講座にはオンラインで約120人が参加し、病院経営の課題と改善に向けて診療報酬制度やDPCの仕組みとその効果的な運用について学習した。
DPCとは「包括評価方式( Diagnosis=診断 Procedure=治療・処置 Combination=組み合わせ)」のことで、入院診療費の計算方式。従来は診察で行った検査や注射、投薬など治療・処置の量に応じて出来高で計算されていたが、DPCは1日あたりの包括金額として設定して計算するもの。講演では、DPCの基本的な仕組みの解説に加えて、運用の注意点や収入向上につながるポイントについても解説した。中島さんは「DPC制度を導入している病院は、DPCの仕組みを熟知し、より効果的な運用を実施すれば、診療内容が同じでも収入を増やせる可能性がある」とアドバイス。具体的な事例を交えた内容は非常に実践的で、参加者にとって大いに参考になるものとなった。