2025/02/06
公営企業評議会は1月29日にPFASに関する学習会をウェブ開催し、37県本部から227人が参加した。社会的関心が高まるPFAS(有機フッ素化合物)について、その影響と対策を学ぶことを目的に開催した。PFASは、広範な産業分野で使用されてきた一方、環境や人体への影響が懸念されており、対応が求められている。学習会では、環境省の鈴木清彦室長(環境管理課環境創造室)を講師に迎え、「有機フッ素化合物(PFAS)に関する環境省の取組」と題した講演を行った。講演の概要は以下の通り。(動画は「じちろうモバイル」から期間限定(3月7日迄)で視聴できます ※要パスワード(機関紙じちろう参照))

国内・外におけるPFAS規制の現状
水道法において水質管理の対象となっているPFASは、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)およびPFOA(ペルフルオロオクタン酸)の2種類である。PFASは1万種類以上の物質を含む総称であり、そのうちPFOS、PFOA、PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)の3つがストックホルム条約(POPs条約)により廃絶対象となっている。
国内では、化審法(化学物質審査規制法)により、PFOSは2010年から、PFOAは2021年から製造・輸入を原則禁止するよう規制されている。
また厚生労働省は2020年に水道法に基づき、PFOSおよびPFOAの暫定目標値を100ng/Lに設定した。2022年度には11の事業で暫定目標値を超過していたが、2024年9月30日時点の最新の検査結果では、すべての事業が暫定目標値を下回っている。
PFASの健康への影響については、WHOや米国で議論が継続しているものの、明確な科学的知見は確立されていない。一方、欧米ではより多くのPFAS類を規制対象とする動きが進んでおり、今後の国際的な規制強化の動向を注視する必要がある。
PFASの最新評価と基準値の見直し
2024年に内閣府食品安全委員会「有機フッ素化合物(PFAS)ワーキンググループ」において、PFASのリスク評価が行われた。評価に際して必要な文献が事前に収集されたが、学術論文として公表されている試験結果は、質の高いものと低いものが混在している状況だった。そのため、速やかに評価を進める対象を3物質に限定し、文献情報3,000報や海外機関の評価をもとに、約20人の専門家による審議を経て、耐用1日摂取量(TDI)が設定された。
• PFOS:20ng/kg 体重/日 • PFOA:20ng/kg 体重/日 • PFHxS:現時点では算出困難
この評価を基に、2024年度から専門家による検討会で水質基準の見直しが進められており、2026年4月1日より「暫定目標値」から「水質基準」へ分類変更される予定である。
※水質基準については、耐用1日摂取量(TDI)の数値に基づき、水の飲用に係る割当率を10%として算出されている。
環境省の取り組み
環境省は全国的な水質モニタリングの強化、代替物質の開発、浄水処理技術の導入などの対策を進めている。PFAS問題の解決には、長期的な視点に立った継続的な対策と、自治体や企業の協力が不可欠だと述べた。
最後に、岩本議長から「PFASへの社会的関心が高まり、現場でも混乱が生じたが、住民生活に直結するライフライン事業として各事業体が対応してきた。住民対応や調査・検査業務の負担が増加しており、人員確保が不可欠である。今後、現業・公企統一闘争に結集し、人員確保をはじめとする公営企業職場の課題解決に向けて取り組もう」と参加者に訴え、学習会を終えた。