公共交通の担い手不足問題などを議論~地方自治における公共交通のあり方を考える議員懇談会(2月26日)~

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公共交通の担い手不足問題などを議論~地方自治における公共交通のあり方を考える議員懇談会(2月26日)~

2025/02/27

地方自治における公共交通のあり方を考える議員懇談会(交通議員懇)は2月26日、衆参議員108人(代理含む)の参加のもと、総会を開催した。バス運転者をはじめとする交通労働者の人員不足や処遇改善の問題、ゲリラ豪雨など都市型災害時の地下鉄浸水対策、公共交通のDX・GX化など、公営・地域公共交通(以下、公共交通)の存続・確立に向けた喫緊の課題や政策について意見交換を行った。

冒頭、近藤昭一交通議員懇会長(衆議院議員)があいさつし、今国会で来年度予算審議が本格化していることに触れ、「深刻さを増す公共交通を維持・存続させ、住民の移動や生活を守るためには、国主導による施策強化とそのための予算確保が不可欠」と強調し、「交通議員懇と自治労が連携し、取り組みを強化していこう」と訴えた。

続いて、自治労を代表してあいさつした石上千博委員長は、「1990年代以降、『官から民へ』『規制緩和』の流れが加速し、交通分野にも市場原理が導入された結果、不採算路線からの撤退や人件費削減など徹底した効率化が進められてきた」と指摘。現在、地域公共交通は存亡の危機にあると改めて説明し、「独立採算という根本的な問題の解決を目指しつつ、当面の人員不足解消や雇用条件の改善、特定技能制度の見直しによる外国人労働者の受け入れ、ライドシェアを含む交通形態の多様化対策など、国や地方自治体も積極的に関与し、中長期的な計画と取り組みを進めることが必要」との考えを示した。

引き続き、都市交評の青山浩二事務局長が①人員不足や賃金・労働条件の現状、②大規模水害による地下鉄駅施設の浸水対策など都市型災害への対応、③EVバスや自動運転など次世代車両の導入、④ICカード・クレジットカードタッチ決済など交通のDX・GX化といった課題を提起。そのうえで、「公共交通の再生に向け、自治体の責任と役割が増している。国が支援し、事業者と連携して対策を推進することが重要」と述べ、交通議員懇の支援・協力を要請した。

その後の意見交換では、①地方都市における人口減少とバス利用者減少の影響による路線維持の困難さ、②大型二種免許取得者を増やすための抜本的な対策と外国人労働者の採用、③クロスセクターの視点を踏まえた自治体における交通担当者配置の重要性、④交通のリ・デザイン化を推進するための交通政策基本法や地域公共交通活性化再生法の活用などについて意見が交わされた。

また、都市交評からは、佐田悟副議長(京都交通労組委員長)が京都市のオーバーツーリズムによる市バス等への影響とその対策、松岡真二副議長(名古屋交通労組委員長)がコロナ禍による業績悪化からの経営改善の取り組みを報告した。

福田智議長(東京交通労組委員長)は、「バス運転者は単に輸送を担うだけでなく、安心・安全・快適なサービス提供のために接客・接遇向上に努めている。こうした状況を踏まえ、担い手不足の解決に取り組むべき」と強調。さらに、「バス運転者不足の解決には、将来にわたって生活できる賃金水準の確保が必要であり、そのためには適正な運賃改定が不可欠」と指摘し、公営バス事業における非正規職員の現状を説明した。

最後に、鬼木誠事務局長(自治労組織内参議院議員)が「地域の公共交通は住民生活に不可欠であり、厳しい課題があるが、引き続き交通議員懇と自治労が連携して取り組んでいこう」と述べ、総会を締めくくった。

連携を呼びかける鬼木まこと事務局長(自治労組織内参議院議員)

岸まきこ参議院議員(左)も参加

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