2025/03/25
重機が入らないため、水路に繁殖した特定外来生物「ブラジルチドメグサ」を人力で駆除している様子
現場からの取り組みで技術の継承を
現業職員は地域住民のニーズを捉え、さまざなな業務を担っている。福岡県八女市では、水路に特定外来生物の「ブラジルチドメグサ」が繁殖し、通水疎外や水門の開閉作業に支障をきたすため、住民要望により除去を行っている。除去箇所によっては、重機などが使用できず民間事業者が参入しないため、現業職員で対応している。除去した「ブラジルチドメグサ」は塵芥車(パッカー車)で施設に搬入し、自己完結型で処理を行っている。
八女市では単組の粘り強い交渉により、2022年度に26年ぶりに現業職員が採用された。その背景には、現業職員でしか対応できない業務、また効果的な業務を現場から実践し、現業職員の必要性を当局に認識させてきた経過がある。新たに採用された現業職員は先輩から知識や技術を学び、これからの「質の高い公共サービス」の提供にむけ、現業職場で業務を担っている。

また、市が管理している敷地の維持管理について、小面積の際は委託事業より、直営で対応した方が効率的であるため、対応している。管理用地の整地では先輩からのアドバイスのもと、重機を使用しつつ対応している。さらに生ごみのリサイクルとしてコンポストの普及にも努めるとともに、住民からの要望により、廃材を利用し集積所の設置も行っている。従来業務の清掃や土木業務に限らず、住民ニーズを踏まえた新たな業務を実践している。


多くの自治体では現業職場の安易な民間委託が拡大しているが、地域実情や業務に応じて民間事業者の対応が困難であることから、現業職員の業務内容は数多く存在している。地域実情に応じた公共サービスを安定的に提供するためには、現業職場の維持・拡充が重要である。