2024/09/10
都市公共交通評議会は8月22日、2025年度の国土交通省予算に関わる第1次要請を行った。今回は、深刻さを増すバス運転者や整備士等の人員確保、さらに「2024年問題」も影響している乗合バスの路線廃止など地域住民の移動確保問題を中心に関係予算の拡充、支援強化を訴えた。要請には、山﨑幸治副委員長、森下元総合政治政策局長、都市交評の福田智議長、青山浩二事務局長が参加、国土交通省は地域公共交通を担当する池光崇公共政策審議官が対応した。
要請に対し池光審議官は、要請内容に理解を示したうえで「個々の要請については、各担当部署に伝える。今月末が概算要求の締め切りなので、要請を踏まえできる限り反映に努めたい」と回答。人員不足問題に対しては、「深刻さを十分認識しており、物流も含めて人員確保がさらに厳しくなっているが、バス利用者のキャッシュレス化や運行管理の効率化などDX化も進めながら支援、対応していきたい」との考えを示した。
これを受け福田都市交評議長は、運転者のみならず整備士の不足もバス事業の存続に大きな影響を及ぼしかねないこと、豪雨による地下鉄施設の浸水問題などこれまでの想定を超える災害への対策強化の必要性などを訴え、安全輸送を担保するための国の支援拡充を求めた。
最後に、山﨑副委員長が「今後も、こうした要請・意見交換の場を通じて公共交通の現場で安全・安心の輸送を担っている労働者の声を施策に反映していただきたい」と結び、要請を終了した。都市交評の国土交通省への要請事項は添付の通り。
なお、8月27日に出された国土交通省の2025年度概算要求では、交通運輸分野の人員確保策について触れられているが、DXや自動運転等による効率化が重点に据えられており、私たち都市交評の求める、運転者、整備士等の処遇改善策等は盛り込まれておらず、不十分なものとなっている。今後、12月の政府予算決定期にむけて「地方自治における公共交通のあり方を考える議員懇談会」とも連携し、国土交通省対策、国会対策等に努めていく。