2023/10/27
11月11日は「いい日、いい日、毎日、あったか介護ありがとう」の意味を込めた「介護の日」。介護問題に対し、私たちができることは何か?現場から伝えたいことを介護部会長の天本さんに聞きました。
超難題2040年問題
人口減少と少子高齢化の進行により、2040年には介護労働者69万人の不足が見込まれ、社会保障制度が破綻しかねない危機的状況が目前に迫っています(下図)。
某国民的漫画の「ひとつなぎの◯◯」という言葉のように、社会保障は、相互に連帯して支えあえるよう国民生活と社会をひとつなぎにする必要不可欠なシステムです。これにより私たちは、元気な時もそうでない時も、子育て、仕事、介護、老後などのあらゆる人生のステージを安定的に過ごすことができています。
「介護」は、まさにこの関所です。多くの人が避けては通れない介護問題を解決しなければ、日本社会は次のステージに進むことはできません。
実践「介護の日」
介護のことは、実際に介護をする側、される側になってみないとわかりません。みなさんには、この「介護の日」に、意思疎通ができるうちに、家族で将来の介護について話をして欲しいです。要介護になったとき、どの段階で在宅ケアから施設入居に切り替えるか、延命の条件などを話し合い、いざそうなったときに、その内容を介護現場の人に伝えてください。必ず役に立ちます。そして、この一つのアクションが、介護について意識するきっかけになるはずです。
よろしい、ならば将来設計(フューチャーデザイン)だ
この国難に対しては、国が責任を持って30年先の介護のあり方を設計し、「フューチャーデザイン」を示すべきです。国、自治体、国民それぞれが、今から何を実践すべきかが明確になります。そして、最も重要なことは、介護労働を魅力ある仕事に変え、人員を確保することです。自治労は、現場の意見が反映されるよう国に働きかけるとともに、介護職場を組織化し、業界全体の賃金水準をしっかりと引き上げていく必要があります。
みんなが最期までその人らしく生きるため、介護職員は日々現場で奮闘しています。今日、「介護の日」を知ることが、幸せな介護の第一歩になることを願っています。
天本 敬久(あまもと たかひさ)
自治労本部社会福祉評議会介護部会長。愛知県本部自治労名古屋市労働組合。03年から同市厚生院で介護職員として勤務。特定非営利活動法人かいごつたえ隊副理事長。趣味はアニメ鑑賞。
機関紙じちろう2023年11月1日号より転載