2023/03/15
自治労の国保労組協議会は3月7日に「2023年度国民健康保険制度等に対する要求」について、厚生労働省と交渉を行った。自治労からは、櫛﨑議長ら国保労組協議会幹事会と比田井強化拡大局長が出席し、厚生労働省は保険局国民健康保険課および高齢者医療課が対応した。
冒頭、櫛﨑議長が要求書の回答を文書により受領し、前進回答を引き出すべく交渉に臨んだ。まず、あらためて、国の方針に従った2024年度国保総合システムの更改に向けて、国保保険者ひいては国保被保険者の負担に転嫁されることがないよう、保守・運用費用の増額分を含め財政措置を求めたが、厚生労働省は「ランニングコストは受益者負担の観点から国庫補助は困難」との回答に終始した。
そこで、二の矢として、保守・運用費用の増額分が措置されず、国保連合会の財源が不足し、国保保険者に対して手数料等の引き上げを求めざるを得ない場合であっても、国保保険者や国保連合会で働く職員の処遇および人員体制に負担が転嫁されることがないよう、必要な対策を求めた。しかしながら、厚生労働省の当初回答は「保守・運用費用の増額により、国保保険者や国保連合会で働く職員の処遇および人員体制に負担が転嫁されることはないと考える」にとどまった。
これを受けて陳野事務局長は「国保総合システムの今後のあり方を導いたのは国だ。現場で働く労働者に費用増嵩の責任は一切ない。従って、その負担が現場で働く労働者に転嫁される道理がない」と断じ、「なぜ国は道理がないとはっきり回答できないのか」と厳しく追及した。
結果、厚生労働省から「国庫補助されず、仮に財源が不足したとしても、国保保険者や国保連合会で働く職員の処遇および人員体制に負担が転嫁されることはあってはならない」と踏み込んだ回答を引き出し、回答文書も同様に修文された。
その他、審査支払機能のあり方について「国保連合会と支払基金の組織統合は考えていない」、支払基金で先行する審査支払手数料の階層化について「国保連合会への導入が議論されている状況にはない。階層化自体も財源全体のパイを抑制する意図はない」、など様々な前進回答を引き出した。
最後に、2026年度に向けた支払基金とのシステムの共同利用機能の共同開発について、短期間での開発によるリスク等の回避や開発に伴う費用の準備に十分な配慮を求め、また、クラウド化が先行する支払基金システムに引きずられ、保険者サービス系をはじめとする国保固有の機能がないがしろにされないよう、厚生労働省がしっかりと行司役を果たしていただきたいと要請し、交渉を閉じた。