2024/12/06
ヘッドマウントディスプレイを装着し、VR研修を体験する参加者
自治労都市公共交通評議会は11月19~20日、福岡市で第1回バス部会を開催した。本部会は、2024年4月より施行された「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)」の影響によるバス運転者不足や路線等の状況の把握や、職場課題の共有とそれを踏まえた当面の取り組み、2025年度の国土交通省予算に関わる要請内容の協議等を目的に開いた。
あわせて、西鉄バスの研修センター(西日本鉄道株式会社自動車事業本部西鉄バス研修センター)を視察し、同社の安全運転研修や接遇等のサービス向上にむけた取り組みを調査した。
1日目は西鉄バス研修センターを視察。西鉄バスでは、VR技術を活用した安全運転研修に注力している。研修受講者がヘッドマウントディスプレイを装着し、バス運転者が行う指差呼称による確認動作についての訓練及び評価を行うもの。現在、採用時から定期的にこのVR研修を行っており、高齢者等の車内事故や人身事故の減少につながっている。また、あいさつなどの接遇サービスについても、意識強化を含めた向上策に努めているとの説明があった。
2日目は第1回部会を開催。会議では、改善基準告示の施行から半年以上が経過し、運転者不足が深刻さを増している状況、加えて整備士も応募者数が定員に満たないなど、バス事業の安全運行を支える部門にも担い手不足が波及していることが明らかになり、10年先の事業の存続が危ぶまれるとの発言もあった。
とくに運転者不足の問題は、採用時の初任給引き上げなどの対症療法だけではなく、運転者を中心とした処遇・職場環境の大幅な改善、路線維持やさらなる時間短縮、そのための採用拡大・育成など、バス事業全体の底上げとそのための国や自治体の支援強化を求めていくことを意思統一した。最後に、魅力ある職場をめざし、引き続き単組間の緊密な情報交換や交流、本部・県本部との連携強化をはかっていくことなどを確認し、会議を終了した。
都市交評は、6月に改善基準告示後のバス運転者の充足率や不足状況、その解決にむけた要員確保策、路線の維持状況等のアンケート調査を組合員を対象に行い、その分析を行っている。引き続き、処遇改善や新規採用の拡大を強く求めていくとともに、調査結果を踏まえ、各単組のバス事業の維持・確保の取り組みに生かしていくこととしている。