2022/11/22
自治労・社会福祉評議会は10月22日および29~30日に自治労全国介護・地域福祉集会を開催。2024年に見直しが予定される介護保険制度の現状と課題について、参加者全体で議論を深めた。
集会はウェブと対面を併用。全体集会と3つの分科会等は10月29~30日に対面とウェブの併用で、第3分科会は10月22日にウェブのみで開催し、33県本部178人が参加した。
全体集会では、制度発足以来、3年おきに見直しが行われてきた介護保険制度の2024年見直しにむけた議論が厚生労働省・社会保障審議会で始まる中で、介護現場の声を反映した介護保障の充実と介護労働者の処遇改善について議論した。
講演Ⅰでは厚生労働省老健局の林俊宏総務課長(トップ画像:右)が講演。これまでの介護保険制度の改正の経緯を踏まえつつ、高齢者総数がピークを迎えるとされる2040年には介護職員が69万人不足するとの推計を見据えて、介護人材確保対策として、処遇改善に2009年以降、合計で月額7万5000円の加算や、教育研修の支援、介護ロボット・ICT等の活用推進などを行ってきたと述べた。
講演Ⅱでは、市民福祉情報オフィス・ハスカップ主宰の小竹雅子さん(トップ画像:左)が講演。介護保険制度の発足から20年間の制度変遷を、保険料、介護認定、利用者負担などの柱ごとに分析し、問題点を指摘した。
「保険料は引き上げられ、給付は抑制されてきた。要支援1と2への予防給付は予防給付と地域支援事業に分けられた。これは給付外しだ。『応益負担』で始まった利用者負担は、制度の持続可能性のためとして『応能負担』に変えられてきた」と批判した。
また、介護労働者の処遇(参考:図表)と専門性についても、「今の賃金水準はちゃんと子どもを育てられる水準なのか疑問だ。介護労働者の専門性とは分厚いテキストを読んで知識を持つことではなく、介護を受ける人とその家族を安心させ、安定した状態にできる能力だ。それを介護労働者自身が、自分たちの言葉で語れるようになって欲しい」と述べ、集会参加者に奮起を促した。
※機関紙「じちろう」第2331号(2022年11月21日発行)より転載