2023/11/01
自治労衛生医療評議会は、10月31日、厚生労働省に対し、2024年度診療報酬改定に関して要請を行った。
2024年度は、診療報酬のほか、介護報酬と障害福祉サービス等報酬も改定される6年に1回の「トリプル改定」に当たる。診療報酬の改定は2024年6月1日に施行される。
新型コロナウイルス感染症の拡大時、多くの公立・公的病院が感染症罹患者を受け入れてきたが、感染症病床やそれに対応する医療従事者は不足し、現場は混迷した。今後も新興感染症に備えるのであれば、必要な人員確保とそのための処遇改善が不可欠だ。
要請には、山﨑副委員長、森下総合政治政策局長、氷室政策局長、小森衛生医療評議長、平山事務局長が参加。厚生労働省側は、伊原保険局長が対応した。
厚労省に対しては、以下を重点項目として要請した。
・物価高騰と賃上げを考慮した報酬の改定
・新興感染症に対する診療行為に対する適切な評価
・医療機関で働くすべての職員の処遇改善
・看護職員の配置基準の見直しと夜勤の回数改善
・医師の働き方改革推進のためのタスク・シフト/シェアについての評価
・病院薬剤師の採用につながるよう病棟薬剤業務実施加算の改定
厚生労働省側は、「2023春闘では30年ぶりの賃上げ率となったが、医療界との差は大きい。診療報酬は公定価格のため、他産業と同じように上げることができない。今後、原資をどう確保をするかが最大の課題。処遇改善は報酬の改定率と連動しており、次の改定のテーマは医療界の賃上げをどうするか。今回頂いた要請項目は我々にとっても課題だ」と述べた。
小森議長は、「看護職員処遇改善評価料について。コロナ対応や地域医療を支えるために頑張っていても、施設基準を満たさない場合は対象とならず、現場では不満がある。すべての医療機関が対象となるよう、職種の制限をなくすべき」と訴えた。
平山事務局長は「コロナ禍において、病院には病床確保料など多額の補助金が出されたが、補助金は病院の内部留保に回っており、現場の処遇改善に還元されていない。一部、危険手当が出たぐらいで、現在はその手当すらなくなっている状況。職員の賃上げにつながる改定となるようお願いしたい」と述べ、要請を締めくくった。