2021/04/28
意見陳述を行う、福井淳・衛生医療局長
4月27日、参議院厚生労働委員会において、「良質かつ適切な医療を 効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案」の審議が行われ、福井淳・衛生医療局長が参考人として招致された。
冒頭、福井局長は、法案に対して医療現場で働く者の立場から、①医師の働き方改革について、②医療関係職種の業務範囲の見直しについて、③新興感染症等の感染拡大時における医療提供体制の確保に関する事項の医療計画への位置付けについて、④地域医療構想の実現に向けた医療機関の取り組みの支援について、意見陳述を行った。
特に、地域医療構想にあたっては、新型コロナウイルス感染症対応が長期化し、さらに第4波への対応が求められている中において、現在が本当に医療機関の再編を促す時期にあるのかと問いただし、2019年9月に公表された、公立・公的医療機関の具体的対応方針の再検証リストの扱いについては、一旦取り下げるべきとの考えを示した。
最後に、「感染症の医療計画への位置付けが始まるのは2024年からとなるが、それを待たずとも、医療や公衆衛生を支える職員の確保を進め、処遇等を早急に改善・整備することが重要。本法案が現在約一年半にわたり医療の現場で頑張り続ける医療従事者を応援し、励ます内容となりますようご審議いただきたい」と述べ、意見陳述を終えた。
引き続き行われた厚生労働委員からの質疑では、立憲民主党の田島麻衣子議員から「病床機能再編支援事業の対象となった436病院のリストはすべて公立・公的医療機関となっているが、民間の病院を検討しなくていいのか。コロナ禍における地域医療構想を進めていくことに対する見解は?」との質問をうけた。
これに対し、福井局長は「436病院のリストについては、2017年6月の診療実績、しかも急性期の医療実績を対象としており、今回のような感染症への対応は想定してない。地域医療構想調整会議の議論を活性化するものが必要だとするならば、一旦この再検証リストは撤回し、新たに議論を活性化させるものを提供するべき。それでもリスト公表こそが調整会議を活性化するために必要だというのであるならば、今回のコロナ禍の状況の総括と分析を行って、全ての医療機関を対象としたリストを公表するべき」との考えを示した。