2024/07/16
6月3~14日にスイス・ジュネーブで第112回ILO総会が開かれ、条約の適用状況を審査する基準適用委員会の「個別審査」に、日本の公務員の労働基本権問題が付された。
この会合には石上千博委員長が連合代表団の一員として出席。日本政府の誠実な対応を求めて発言した。
「個別審査」は6月11日に実施された。審査されたのは、ILO87号条約の日本国内での適用状況。冒頭、日本政府代表として細田大造総務省公務員課長が消防職員の団結権、消防職員委員会制度の意義等について、日本政府の立場を説明した。
当事国の労働者代表として発言した石上委員長(連合会長代行)は、日本政府が2018年の「個別審査」における議長集約で「自律的労使関係制度について社会的パートナーと協議する」等を内容とした5課題(下記解説を参照)を示されたことに対し、政府は誠実に向き合っていないことを指摘。「日本の公務員の労働基本権問題の根本的かつ抜本的な解決に向けた日本政府の誠実な対応を導く本委員会の討議と結論を要請する」と強く主張した。
労働者側スポークスパーソンも日本政府に対し、社会的パートナーとの協議を通じ2026年までにこの問題を解決するためのロードマップと行動計画を早急に策定し、2024年9月までに専門家委員会に提出すること等を求めた。
日本政府に対し、改めて対応と報告求める議長集約
「個別審査」を踏まえた議長集約(結論)では、改めて日本政府に対し、消防職員の地位と労働条件の改善、刑事施設職員の団結権のあり方、自律的労使関係制度の検討などに関し、労使団体との協議を行い、本年9月までに報告書を提出することが要請された。
議長集約を踏まえ連合・自治労は、公務員の労働基本権問題に対して、引き続き政府に対して真摯な議論と速やかで実効ある対応を求めていく。
結社の自由及び団結権の保護に関する条約(第87号)は、団結権保障を詳細に規定した条約。日本は1965年6月14日批准。この条約では、団結権が与えられないのは軍隊と警察に限られているが、日本の公務員法制では消防職員、刑事施設職員なども警察と同視されるとの理由で団結権が否認されるなど、国内法の整備が不十分な状態にある。
【参考】日本案件第87号条約 個別審査議長集約(2018年)とは
6月17日、連合が今回の個別審査結果に対する事務局長談話を出した。詳細は下記リンクを参照。
(機関紙じちろう2024年7月15日号より転載)