2018/04/02
4月1日から7日にかけて、長年にわたって交流を続けているシンガポール公務員労働組合(AUPE)より、ジェフリー・ビン・モハマド副委員長を団長とする5人の代表団が来日。
規模の違いはあるが、両国にとって超高齢社会、労働力不足は大きな課題である。今回は、介護現場にフォーカスをあてて、ロボットやIT設備導入が労働者にどのような影響を与えるか、労働組合に求められる役割とは何か、などについて意見交換を行う。
4月2日は、午前中に舩山整国際局長より自治労の組織紹介を行った。代表団からは「自治労は若者をどのように組合に引き付けようとしているか」、「自治労と日本政府の関係はどうか」などの質問がされた。
午後には佐保昌一社会福祉局長より、「介護職場におけるロボット、ICTの利用について」の提案を行った。
代表団からは、「将来的にIT設備なしに介護職場はやっていけないと思う。自治労が政府と一緒にファンディングをする考えはないか」「労働者も高齢化していく。この先、誰が介護をするのか」「介護現場に外国人労働者はいないのか。自治労として外国人労働者をどのように考えているか」「同じ介護職場で働く外国人労働者を自治労の組合員として迎えることも将来的にあり得るか」など様々な質問が出された。
続いて、サンジェーヴ・ティワリAUPE労使関係局次長より、「高齢化の課題と戦略、設備に導入される新技術と労働者への影響、組合の役割」について提案がされた。さらに住宅開発局職員組合(HDBSU)のチェン・メイ・リン副委員長より、「高齢者に優しい住宅」について紹介された。
シンガポールではかつて、セカンドキャリアとしてタクシー運転手が多かったが、最近は介護職を選ぶ人が増えてきている事例も紹介された。
佐保局長からは、「『包括的で安価なヘルスケア』を実現する場合、担い手の労働条件や生活保障についてどのように考えているか」「セカンドキャリアとしての介護職が選ばれていることの詳細」などについて質問した。
どちらの国においても、介護職のニーズはあるものの、十分な労働条件が整っているわけではない状況について共有した。
滞在中、川本委員長との会談、福島書記長をはじめとする2012年・2016年AUPE訪問団との懇談会、経済産業省、テクノエイド協会からの講義、介護ロボットを導入している高齢者介護施設の視察や、ロボット事業を推進している大和ハウス工業株式会社などを訪問する予定。
<写真のキャプション>
歓迎のあいさつをする舩山局長【中央】
「介護職場におけるロボット、ICTの利用について」提案する佐保局長【中央左】