【要請レポート】

第32回北海道自治研集会
第Ⅰ-②分科会 立ちあがれ自治体職員 ― 地方自治の可能性を探る ―

テーマ「公園は私の庭」


大阪府本部/大阪市従業員労働組合・公園支部東部班・真田山公園事務所

1. このテーマは、私たちが公園維持管理業務を行う上で永遠のテーマです。

 私たち真田山公園事務所で働く現業職員(コミュニティー丸30人組)は、所管する街区公園(約100箇所)の、維持管理業務を担当しています。
 しかし、この間、相次ぐ遊具等の事故や不法投棄、犬・猫の糞尿問題など本来の公園機能を十分果たせていない現状をどうしたらいいのかを「職場コミュニティ労働推進委員会」で協議してきました。その結果、市民の目線に立つことが重要である、との意見が多数あったことから、職員全員で市民への「声かけ運動」を昨年4月から取り組むこととしました。
 私たちの「声かけ運動」とは、日常業務を通して、公園を利用して下さっている市民の方々に「おはようございます」「こんにちは」などの声をかけること、また、私たちの業務は花や樹木などの生き物を相手にしていることから、それらを活用して声をかけること。すなわち声をかけることにより、市民と職員の意識のカイゼン運動と位置づけました。

2. それでは具体の4つの「声かけ運動」を紹介します。

 その1つは、現場で市民の方々と向き合って直接声をかける「声かけ運動」です。
 真田山公園には有名な"苦情おじいちゃん"がおり、事務所でも対応に困っていましたが、私たちが日常業務の中で声をかけることにより、最近ではお互いに声をかけるようになり、公園管理にも理解を示してもらえるようになりました。
 2つめは、緑化普及・講演の活性化を目的とした木工教室・一鉢花飾り・ペンキ塗り・雪祭り等の学校円との連携による、各種イベントを通した「声かけ運動」です。
 とりわけ、「一鉢花飾り」は、公園に遊びに来た市民の方々に声をかけ、用意した草花を一鉢植えてもらって飾ることにより、「見る」楽しみから「植える」楽しみと「育てる」ことの難しさを体験してもらいました。また、「雪祭り」は、いまや指定管理となりましたが、指定業者に協力をいただき、真田山アイススケート場で整備を行う際に出る氷を再利用して、大阪ではなかなか体験できない雪遊びを、区役所の地域安全対策の方々にも協力頂き、3箇所の公園と4箇所の幼稚園で体験してもらいました。
 3つめは、要望・苦情処理を行うときの「声かけ運動」です。
 真田山公園事務所には、年間約1,000件以上の要望・苦情がありますが、処理簿を見ただけの対応では、市民が求めていた内容と違う処理をすることがありました。そこで、まず処理前に市民に連絡を取り、『内容の現地確認と処理方法の説明。そして、処理後についても市民の確認。』をしてもらう事により、市民の信頼回復にもつながり、市民からの要望等には職員が責任を持って、迅速かつ的確な対応が出来るようになりました。
 4つめは、区役所の玄関に花飾りをすることによる「声かけ運動」です。
 管轄行政区内の三つの区役所(天王寺区役所・東成区役所・生野区役所)の協力を頂き、季節の花飾りを実施することにより、花を通じて間接的に公園の更なる環境美化・緑化普及啓発・公園の活性化の声かけを行ってきました。区役所の来庁者には、四季折々の花を見てもらい季節感を味わっていただくとともに、花やみどりを大切にしてもらう気持ちを少しでも持ってもらうことが、公園利用の促進にもつながってくるものと思います。

3. こうした取り組みを通して、次のような成果が生まれました。

 1つめは、市民・公園利用者の方たちのごく少数ではありますが、公園内下段に雑草がはえていれば抜いてくれたり、公園内でマナーの悪い利用者を見つければ注意をしてくれたり、少しずつではありますが公園をきれいにしていこう「公園は私の庭」という意識が生まれてきました。
 2つめは、毎週入り口に不法投棄がされている公園に、市民の方々と協議し、市民の管理によるプランターを設置するという、不法投棄対策ができました。
 3つめは、学校園との連携や体験学習・区役所での花飾りを通して、今までとは違う形での緑化普及啓発を行うことにより、公園利用の促進、公園利用マナーの向上を市民と職員で考えることができました。
 そして何よりも一番の成果は職員の意識のカイゼンです。
 職員からは、
・わかりやすく丁寧に責任を持って市民対応ができるようになった。
・公園利用者以外の方たちにも、花とみどりを楽しんでもらうことの必要性・重要性が認識でき、仕事に対するやりがいを感じるようになった。
・職員一人ひとりが、市民の方々をより身近に感じることができ、市民が今何を求めているのか、市民のために何ができるのか、これからの職場をどのようにしていかなければならないのかなどを考えるようになった。
との意見があり、常に新しい発想を求めて定期的に会議を開催し、話し合いをするようになった事です。

4. 最後に今後の展開、課題としては

 これからは、市民に身近な区役所が市民共同の拠点になると思います。区役所を中心として、他部署・他所属と連携し、公園の活性化に向けた取り組みを通して、市民協働をどう創り上げていくのかを、職員自らの課題として、自らが実践していくことです。
 今後も、事務所全員で「声かけ運動」を幅広く積極的に進めながら、私たちの永遠のテーマ「公園は私の庭」の実現に向け、市民の方々とともに「安全・安心・快適」な公園づくりを進めていきます。


テーマ「公園は私の庭」