2020/02/27
2月6~7日、東京都内で2020年度地方財政セミナーを開催した。地方財政計画が公表されるこの時期に毎年行っており、全国から組合員をはじめ自治体議員など415人が集まった。
今回は初めて総務省の企画官を招いたほか、地方自治総合研究所(以下、自治総研)の研究員から、地方財政に関わる国の政策について幅広く講演を受けた。2020年度地方財政計画の概要を説明した総務省自治財政局財政課の志賀真幸財政企画官は、通常収支分の歳入について、全体規模として過去最大となる90・7兆円となったことを報告。歳出については、近年多発する自然災害への対応などで市町村の技術職員不足が深刻であることから、県で増員し中長期的に被災地に派遣できる体制の強化や維持補修費に河川の浚渫を推進する事業費の創設などをあげ、必要な支援策を盛り込んだと話した。
また、会計年度任用職員制度の施行に対応し、期末手当の支給等に関わる経費の計上と、引き続いて所要額の調査を行い次年度の地方財政計画に反映することを説明した。参加者からは会計年度任用職員制度に関わり「住民サービスの低下につながらないよう、改めて人材確保の観点での財政措置も要望する」などの発言があった。
自治総研からは飛田博史研究員が2019年度の普通交付税の算定結果を検証。今井照主任研究員は国策としての「地方創生」政策を検証し、「現実に起きているのは、自治体内周縁地域における社会基盤の脆弱化などによる地域の衰退の加速化だ」と問題提起した。その上で第二期「地方創生」政策にむけた自治体のスタンスとして、第二期地方版総合戦略を策定しないという選択肢もあり得ると述べた。
自治体の財政運営は、地域住民に提供するサービスの水準や地域で働く労働者、自治体職員に大きく影響するため、労働組合としても積極的に関与する必要がある。自治総研の其田茂樹研究員は、5年ぶりに改訂した『自治体財政分析のてびき』(自治労本部政治政策局作成)を紹介し、各自治体単組での財政分析に役立ててほしいと呼びかけた。本部も財政需要に対応した地方一般財源総額の確保にむけ、引き続き取り組みを進める。