脱炭素と「公正な移行」へ《地域から行動を起こそう》COP29の到達点

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脱炭素と「公正な移行」へ《地域から行動を起こそう》COP29の到達点

2024/12/17

氷室佐由里 自治労政策局長
自治労での海外出張は初経験。会議参加者の多彩な行動に、気候問題のグローバルな重みを実感した

11月11~24日まで、アゼルバイジャンで開かれたCOP29(気候変動枠組条約第29回締約国会議)において、ITUC・連合は労働組合の意見反映をはかる行動を展開した。地球温暖化を止めるための国際的な行動計画を策定するこの会議で、何が議論されたのか。連合代表団に参加した氷室佐由里政策局長に聞いた。

 今回の連合の行動は、ITUC(国際労働組合総連合会)と連携し、労働組合の立場から「カーボンニュートラル」や「公正な移行」(下方の解説参照)についてCOP29に参加する政府等に意見を反映させることが主な目的でした。

 浅尾慶一郎環境大臣や経産省審議官との意見交換、「公正な移行」に関するハイレベル閣僚会合の傍聴、経団連との意見交換などを行いました。

 ITUCは、毎朝の労働組合調整会議と17日の労働組合戦略会合(下写真)で、行動に参加した各国ナショナルセンターと政府・経営者団体との意見交換の情報共有などを図りました。

労働組合戦略会合の様子

会議結果には深い失望ー「公正な移行」は結論先送り

 COP29で最大の焦点となったのは、「気候資金に関する新規合同数値目標」です。資金を提供する先進国と、気候変動の影響が深刻なグローバルサウス諸国の主張の隔たりが注目を集めました。2035年までに年間1.3兆ドル以上に拡大することで最終合意しましたが、この不十分な結果にITUCと連合は深い失望を表明しています。

 労働組合が最も関心のあった「公正な移行」は結論が先送りされてしまいました。気候変動問題の解決過程は、産業構造の転換を伴い、労働者や地域に打撃を与えます。産炭地であった夕張市が衰退し財政再生団体になったことはその一例です。それを避けるための計画をITUC・連合は求めています。

 日本各地で「ゼロカーボン自治体」の取り組みが進んでいます。豪雨災害の頻発など、気候変動の脅威は自治体の対応を迫っています。自治労は10月のしまね自治研の特別分科会で、各地の先進事例の報告を共有しました。気候変動問題は、遠い外国での会議で専門用語が飛び交う難しい問題ではなく、私たちの暮らしと仕事の問題です。自治労はこの課題への取り組みを強めます。

〈解説:「公正な移行」〉

「公正な移行(Just Transition)」とは、環境問題の解決や対策を実施する上で、関係する産業分野に従事する労働者や、産業が立地する地域が取り残されることなく、公正かつ平等な方法により持続可能な社会へ移行することをめざす概念。ITUCが2009年に提唱した。
 石炭から石油へのエネルギー移行時に発生した炭鉱労働者の大量失業、産炭地の衰退の反省がこの考え方の背景にある。

アゼルバイジャンの首都・バクーのCOP29会場入り口

(機関紙じちろう2024年12月15日号より転載)

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